2016年11月下旬、ジャーナリスト・佐々木俊尚さんによる新著『そして、暮らしは共同体になる。』が出版されました。今回はこれからの暮らしに密接に関わる「友だち関係」について、佐々木俊尚さんに伺います。

SNSによって広がる友だち関係

 友だち関係をたくさん持つことが、とても大切なことになってきています。

 普通に会社員をしていると、自分の会社の中だけで関係がまとまってしまうことが多いですよね。わたしのようなフリージャーナリストの仕事でも、出版社の編集者や同業者と毎晩飲みに行ってつるんでるだけというような人は多いので、けっこう世の中は閉鎖的なんだと思います。

 でも会社にとらわれず、いろんな場所で人に出会い、友だちになる。以前だったら、その時仲良くなっても友だち関係を長続きさせるのはたいへんでしたが、いまはフェイスブックやLINEのようなSNSを使って、ずっとつながることができるようになりました。これが人間関係を広がりのあるものに変えてきていると思います。

 SNSは、自分の人間関係や日々の生活をオープンに見せてしまいます。それに抵抗のある人もいると思いますが、私の場合は、公開することで逆に得られる情報がすごく多くなったという印象があります。「○○がお好きなんですね。このお店をご存じですか?」とか、「誰々さんと知り合いなんですね。機会があったら紹介してくださいよ」と言われ、そこからさらに関係が増えていったりとか。

 気が付いたら自分の預かり知れぬところで、友だちと友だちが勝手に仲良くなっていたりします。友だちの家に呼ばれてご飯を食べに行ったら、別の友人がその場に来ていてびっくりしたことがあります。「あれ、お二人知り合いだったの?」って聞いたら、「何言ってんですか、佐々木さんの家で食事した時に知り合ったんじゃないですか」って言われました(笑)。

佐々木俊尚 友だち関係

友だち関係に境界線はいらない

 いろんなところでいろんな人と知り合い、その関係がだんだん輪のようにつながっていくんです。仲良くなったマンション仲介の不動産営業マンと友人になり、一緒にキャンプに行くようになりました。自家用車を買ったカーディーラーの人と仲良くなり、料理が上手だというので、引っ越ししたときのホームパーティーで料理を作ってもらったこともあります。そのうちエニタイムズでお仕事を頼んで、それで友だちになるってのもたぶん当たり前になってくるんじゃないかな。

 仕事の関係か、プライベートの関係か、なんてことは、もはやどうでもいいんじゃないかと思います。仕事で知り合って、個人的に仲良くなった友だちもいる。友だちと盛りあがって、一緒に仕事をはじめることもある。会社員だって、同じです。日本でも政府が正社員の副業を後押しする時代ですよ?正業か副業か、はたまた遊びかという境界がなくなってきているんです。

 そういう友だちの関係を住んでいるところ、働いている先にこだわらずに広げていくことは、新しい時代のセーフティネットになっていくのではないかと思います。仕事をしているような、遊んでいるような。そういうのって、ブラブラ遊んで生きてるように見えるかもしれません。でもブラブラしているからこそ、いろんなネットワークとつながることが可能で、実はそちらのほうがひょっとしたら安定しているんじゃないでしょうか。

 ひとつの会社にぶら下がって閉鎖的な人間関係の中で生きているよりも、たくさんの仕事をしてブラブラのほうが安定している。まあ収入は安定しませんが、それでも友人がたくさんいれば何とかなるかなという安心感もある。そういう意味では、いい時代になったともいえますね。

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佐々木 俊尚

作家・ジャーナリスト

1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社で記者、その後月刊アスキー編集部を経て、現在はフリージャーナリストとして活躍。ITから政治・経済・社会・文化・食まで、幅広いジャンルに精通し、40冊以上の本を出版。会員制コミュニティ LIFE MAKERS を運営。ANYTIMESメディア顧問。

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