一番簡単な自家製ワインの作り方は、必要な物も、手順も、作る環境もとてもシンプル。
必要な物は、原料となるブドウ、それからワインを発酵・熟成させる容器(ペットボトルでも可能)、ザル、ボウル、以上です。ブドウ以外は家にあるようなものばかりですね!
さらに手順も簡単で、ブドウを選ぶ→手で実を握りつぶす→容器で発酵させる(ときどき混ぜる、25℃くらいの室温で)→下に溜まる沈殿物をよけて上の透き通った部分をすくって、グラスに注いで飲む!
あれ?終わり?と思うほどワインの作り方って簡単ですよね。
もちろんこれにひと手間ふた手間加えたりしてより洗練されたワインを作っていくこともできますが、まずはこの超簡単な作り方を試してみましょう!
普段よくスーパーで買うブドウでは少し不向き!原料となるブドウの選び方
ワイン作りに適しているのは、色が濃い目で黒っぽい見た目のブドウだと言われています。
ですので、普段手にする機会の多いデラウエアや巨峰よりも、ベリーA、キャンベルといった品種が良いでしょう。
食用として販売されています。
赤ワインも白ワインも、ロゼワインだって同じブドウで作れます!発酵時に入れるものと時間の違い
ブドウを買ってきたら、それを洗わず(気になるようならサッと洗う程度にとどめる)ボウルに入れて手で握り潰します。
なぜ洗わないかというと、皮の表面についている酵母菌を洗い流さないようにするためです。
そう、ブドウにはもともと発酵に必要な酵母菌がついている状態なのです。ですのでブドウは昔から、潰しただけでお酒が出来上がる果物として人気で、盛んに生産されていたのですね。
赤ワインの作り方は、潰した実、果皮、種子、実と実を繋ぐ小枝、潰した時に出る全てを発酵容器に入れます。
白ワインの場合は潰した実のみ、ロゼワインの場合は始めは全てを容器に入れますが、ロゼのような薄い赤色になってきたところで、実以外の物を取り除き続けて発酵させます。
発酵容器に入れる際に加糖する理由と日本での注意
次に、潰したブドウに加糖します。
酵母菌がブドウ糖をアルコールに変えるためお酒になるのですが、ブドウに含まれる糖だけでは出来上がった時のアルコール度数が十分ではないのです。
目安としてブドウの量の10%ほどの分量の砂糖を加えるようにしましょう。
と言いたいところですが、これは本場でのワインの作り方で、日本で自家製する場合は注意が必要です。
それは、酒税法の存在です。
普段飲んでいるようなアルコール度数のワインを作ろうと思うと上記のような加糖が必要ですが、そもそも醸造許可のない者によるワイン及び酒類の醸造は酒税法で認められていません。
よって、酒類に分類されないためにはアルコール度数1%未満にする必要があるので、すべての糖がアルコールに変えられる前に発酵を止めなければなりません。
となると、アルコールになる前に止められた糖は甘さとしてワインに残りますので加糖したとしても最後まで発酵させてはいけないのです。
ただただ甘くなってしまいますので、日本でのワインの作り方としては加糖はしないほうが良いでしょう。
25℃くらいの室内で密閉しないで発酵。赤ワイン、ロゼワインの場合はひと手間をあとは容器に入れて酵母菌が糖をアルコールに変えてくれるのを待ちます。
この時の注意点が、フタを密閉しないことです。
糖がアルコールに化学変化する際二酸化炭素が出来るので、逃がすための隙間が必要なのです。
密閉してしまうと容器が破裂する可能性があるのでくれぐれも気を付けてくださいね!
そして、赤ワイン、ロゼワインの作り方に関しては、水面に果皮などが浮きそのまま放置するとカビが発生したり、酸素不足のため酵母菌の活動が弱まってしまうため、一日に数回混ぜるようにしましょう。
糖がアルコールに分解されるとぶくぶくと気泡が現れるので見て楽しみながら、一~二週間発酵させましょう。
続いて冷蔵庫で保管。一滴も無駄にしない様絞りましょう
発酵をやめる時期になったらザルを使って、果皮や種子を取り除きましょう。
この時できるだけ絞ってせっかく作ったワインを無駄にしないようにしましょう。
工場やワイナリーでは、この後に圧搾、樽やタンクで熟成、ろ過、ビン詰め、ビン熟成とさらに洗練していきますが、自家製ワインの場合はこの時点で立派なワインと言って良いでしょう!
アルコール度数的にはブドウジュースに近いのかもしれませんが。。。
透き通り派?にごりワイン派?
にごりワイン派の人はこの時点で完成です!
さっそく注いで飲んでみましょう。
透き通ったワインがお好きな方は、容器の下の方に沈殿物が溜まるまで静かに置いておきましょう。
そして透明な上の部分をすくって注ぐと市販されているような綺麗なワインが完成です!
最後に
自然発酵に自信のない方は、市販のワイン用酵母菌を加えるのも良いでしょう。
一袋500円ほどで販売されています。パン用のドライイーストでも可能ですがパンの香りが加わってしまうので避ける方が良いでしょう。
また、渋みが強いと感じたら発酵の途中で枝や種子を取り除きましょう。
渋みの元はこれらに含まれるタンニンなのです。
また、逆に渋みがもっと必要な場合は後から紅茶のティーバックを入れましょう。
紅茶の風味が加わった独特のフレーバーになります。
また、果汁100%のブドウジュースにイースト菌を混ぜる(700ccに1gが目安)という作り方もありますし、材料が一通りそろった手作りキットも販売されているので、手始めに使ってみるのも良いですね。
最もシンプルな自家製ワインの作り方を紹介しましたが、アルコール度数などの管理は自己責任でお願いいたします。早く日本でも酒税法が緩和されることを祈ります。。