【中華料理の天津飯!】天津飯は日本発祥だった!?

天津飯は日本の中華料理店ではおなじみの料理ですね。

ご飯の上にふんわりとした具沢山の卵をのせてとろりとした甘酢あんがかかっている料理ですが、この料理が中国の天津市の料理だと思っている人は多いでしょう。

実は天津飯は中国ではなく、日本で考案された料理です。

一度食べるとリピートしたくなるのは、日本人の好みに合わせて作ってあるからかもしれません。

今回は、天津飯の名前の由来についてご紹介します。

◆天津市で天津飯の元と言われている料理

天津市は終戦後、中国大陸にいた復員兵が集団引き揚げをした時に出た港として、東京の人たちに知られていました。

引き揚げてきた人たちから伝わった料理の中には、日本の中華料理店で提供している天津飯はなかったそうです。

広東料理に賽螃蟹という料理があったそうですが、蟹以外の魚介で簡単に買える物を卵と一緒に炒め、蟹を使っているようにみせかけるものです。

魚介が取れない北の地方では卵だけを炒めて作った料理になり、黄身と白身を蟹の肉の部分と味噌の代わりにして、蟹の風味を出したそうです。

このお惣菜は現在も北京の常備菜として定着していますが、天津市にも伝わっていた可能性があります。

◆天津米を使った天津飯

昭和の生活用品などの物資が手に入りにくい時代に、中国の天津市から仕入れた美味しい米「小站米」(シャオチャンミー)を炊いたご飯の上に、蟹の肉入りの卵焼きを乗せた丼もの、「天津芙蓉蟹肉飯」があったそうですが、この名前が短くなって「天津飯」になったということです。

天津の「小站米」はもともとは日本産の米で、現地に持ち込んだものを栽培したそうですが、味は小粒で食感がもちもちしているそうです。

◆馬蓮慧氏が考案した天津飯

天津飯

ラーメン研究家の坂本一敏氏の著書に「誰も知らない中国拉麺之路」という本があるが、彼は2008年に中国の天津にあるレストラン「天下一品」で、天津飯を食べた経験を綴っている。

その店の調理師の馬金鵬氏は調理師の家に育ち、三代目を受け継いでいるのですが、初代である馬蓮慧氏は1909年に日本の神戸を訪ねています。

当時日本で「味の素」を教わった代わりに、二種類の天津飯を教えてくれたそうですが、一つは太刀魚を使った醤油味で、もう一つは卵と海老を使い塩味のソースがかかったものだそうです。

◆東京の来々軒説

来々軒

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1910年創業の来々軒が「天津飯」を考えたという説。

来々軒の三代目が戦後復員してから八重洲口に店を出した時に、銀座の萬寿苑のコックに調理場に立ってもらったのですが、あるお客から催促されて出した特別メニューが「天津飯」だということです。

ご飯の上にかに卵(芙蓉蟹肉)を乗せた上から酢豚のあんを利用して、醤油を加えた甘酢あんをかけた丼ものだったそうですが、1925年から「芙蓉蟹」が一般家庭に広まった事を考えると、大衆料理店で出してもおかしくないメニューだという事が言えます。

◆大阪の大正軒説

辻学園の元講師、林良泰氏の話では、「天津飯」は大阪の「大正軒」で生まれたという説があるそうです。

「大正軒」は戦後大阪の馬場町にあった中華料理店でしたが、その店の亭主は山東省出身で店の売りにするメニューを考案する際に「蓋飯」(ガ
イ・ファン)を思いついたそうです。

「蓋飯」は天津市民の食習慣で、ご飯の上から色々な料理をかけて食べたもの。

彼は天津で獲れたワタリガニを使ってかに卵を作り、ご飯に乗せた上からあんかけ風にした「芙蓉蟹飯」を考案しました。

中国より日本の蟹の方が値段が高かったので、大阪市内の土堀川で獲れた河津海老を使った「天津飯」は醤油や塩味のあんかけ風丼となったのです。

◆天津飯を考案するまでの経緯

「天津飯」が日本で考案されるまでは、中国の「蓋飯」はあんかけご飯という形になってから取り入れられるようになったそうです。

日本の食堂で丼物がデビューしたのは天命年間(1781年から1789年)か文化年間(1804年から1818年)といわれています。

日本人が今のように色々な料理をご飯の上に乗せる丼を食べるようになってからは、汁ごとかけるぶっかけ飯か、ご飯にたれが浸み込んだ丼が主流でしたが。

中国のあんかけスタイルはそれまでの日本の丼物とは違った味わいで、ご飯の粒にとろりとしたあんが絡んだ、新しい丼ものとして定着することになったのです。

◆中国の天津飯

中国の「蓋飯」には「天津飯」に似た料理が沢山あります。

名前は違いますが食材や調理法はさまざまで、料理に説明書きのようになっているそうです。

日本の「天津飯」の存在は知られていて、日本人向けに「天津飯」という名前を使っています。

ご飯の上に載っているのはかに玉の時も他の料理の時もあるそうです。

日本の中華料理屋さんの天津飯の名前の由来に色々な説があることがわかりましたね。

天津飯はリーズナブルで頼みやすいメニューです。

由来を知って興味を持った人は、食べに行ってみましょう。

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