植物のちょっとした変化を感じ取り、思いやりを持って植物と向き合う。園芸家の秋和さんは、植物を一目見れば葉のツヤや芽の動きで、今何を欲しているかわかるといいます。
秋和さんはすぐに園芸家になった訳ではありません。独自の道を歩まれる秋和さんの半生とは?
植物を通して培ったチャレンジ精神
小さい頃から植物の世話をするのが大好きだった秋和さん。お小遣いを使って毎月3種類の新しい種を買ってくるのが楽しみでした。
育てるのが簡単なものから畑が必要なものまで、ホームセンターに売っている植物は一通り育てたと言います。
小学校2,3年生の時には、大人顔負けの大胆な実験もしました。ジャガイモと全く違う科の植物を接ぎ木してみたのです。
接ぎ木には合う、合わないがあって、合わないものだとすぐに枯れてしまうといいます。しかしその植物は2週間ほど生き続けました。純粋な好奇心が生み出した新たな発見です。
別に実験しようとかじゃなくて、楽しみながら何気なくやってたんです。大して知識もないから、これはしちゃいけないとか決めつけをしなかった。でも、これは大人になってわかったことですけど、違う種類の植物の接ぎ木って、実は業界ではそんなに突拍子もないことじゃないんです。何でもやってみるって大事ですよ。
何事も恐れずにやってみる。秋和さんのチャレンジ精神は小学校時代に培われました。
あぁそうか。なんでも勉強しようではなくて楽しもうとすればいいんだ!と。勉強しようと楽しもうじゃ、全然結果が違いますよ。
堅い絆でつながるメッセンジャーの仕事
大学卒業後、新卒で入った会社をわずか半年で辞めます。その後卒業論文で放置自転車について書いていた秋和さんは、自転車で荷物を素早く届けるメッセンジャー(自転車便)の仕事を始めました。
メッセンジャーは一言でいえばファミリー。街中ですれ違ったりするとみんな笑顔で挨拶します。世界中のメッセンジャーのコミュニティもあるんです。メッセンジャーだっていうだけで通じ合う。アメリカ人のメッセンジャーから、明日アメリカでパーティがあるって突然誘われて、いや行けないよって(笑)
楽しいことも、大変なことも共有できるメッセンジャーコミュニティの存在。
多様性に富んだメンバーに揉まれ、途中でプログラミングの仕事もしながらのべ10年ほどメッセンジャーの仕事を続けます。
メッセンジャーをしている人って、みんな同じ仕事をしているという強い仲間意識があるんですよね。それから新卒でまっさらな人は入ってこない。みんな個性があって面白いんです。一流企業を辞めてメッセンジャーになって、そのあとまた戻る人もいます。メッセンジャーをやっていると色んな人に出会えるので、心の充電にもなるんでしょうね。