写真はスマホで簡単に撮れる。だから私は「感情」を撮る

 今や、スマホを使えば写真は綺麗に撮れる時代。ではプロのカメラマンと素人では何が違うのでしょうか?
 本日は、出張撮影専門の女性フォトグラファー「しいれい」さんにお越し頂き、一味違う写真の撮り方を教えて頂きました。今回は、ANYTIMESメディア顧問の佐々木俊尚氏とのインタビュー対談記事です。

しいれいさん

しいれい さん

出張撮影専門の女性フォトグラファー

イギリス系の映像会社にてビデオグラファーを経験。その後ドキュメンタリービデオ撮影技法を取り入れた、 自然体で動きのある究極のナチュラルポートレイトを提供している。エプソンフォトグランプリ2011や三渓園フォトコンテストなど数々の受賞歴あり。

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佐々木 俊尚 氏

作家・ジャーナリスト

1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社で記者、その後月刊アスキー編集部を経て、現在はフリージャーナリストとして活躍。ITから政治・経済・社会・文化・食まで、幅広いジャンルに精通し、40冊以上の本を出版。

しいれいさん佐々木俊尚

ダイビングに魅了され、撮影の世界へ

ー大学卒業後は何をされていたのですか?

 大学卒業後は、ワーキングホリデーでオーストラリアに行きました。そこで現地の日本語教師のアシスタントを1年程していました。その後、帰国し一旦は外資系で働いたのですが、海外やダイビングが忘れられず正社員を辞めました。そしてタイのタオ島に行って、ダイビングのプロ資格を取得しました。その時に「水中ビデオグラファー」という仕事を初めて知ったのです。

 

ーなるほど。タイビングがきっかけで撮影の世界に?

 そうなんです。当時は写真ではなく、動画の世界を目指していたんです。タオ島ではタイビング毎にツーリストを密着撮影をする水中ビデオグラファーの同行サービスがありました。

 具体的にはどんな仕事かと言いますと、日中そのツーリストに付き添って撮影し、夕方までに編集、夕食時にその映像を上映して、希望者にはDVDを販売するサービスです。旅が終わってもリアルに臨場感が思い出せるサービスで素敵なんですが、生涯の仕事としてやっていくにはリスクがありました。

 

ー安定していたわけではなかったのですね。その後はどんな風に?

 はい。その後はまた日本に帰ってきて、ブライダルムービーなどの会社に入り動画の勉強をしました。もっと水中動画を深く理解したかったので、休みの度に海外へ行き、水中撮影の作品撮りを続けていました。

 でもその最中に水中事故に遭ってしまい、ダイビングがドクターストップになってしまったんです。

ーそれは大変でしたね。それ以降、水中撮影はどうされたのですか?

 その後遺症で手の筋力が弱くなり、それから重たい機材を持つ事が難しくなってしまったのです。特にビデオ撮影は機材を長時間ホールドしていないといけなかったので。そこからスチール写真に転身したんです。

ーそれで動画からスチール、つまり静止画の写真の世界に移ったのですね。写真の仕事はまだやった事がなかったのですか?

 はい、やった事がなかったので、また1からでした。でも今振り返るとスチールに移って良かったと思ってます。

 

しいれい流の写真の撮り方とは?

ーでもスチール写真の業界は、雑誌が衰退したことなどで、フォトグラファーの仕事が減っていると聞きますし、人材が余って飽和状態になっているということはありませんか?

 飽和状態ですね。雑誌などの業界から流れてくる方や、最近ではビギナーの方々がスタジオを持たない「出張撮影カメラマン」を撮影業のスタートとして参入するケースが多いです。

 

ーそういう状況の中で、自分の「売り」を作っているのですか?

 はい。例えば七五三です。特に私に要望が多いのが、メイクや髪結い・着付けなどのお支度シーン、ここは普通のカメラマンで撮る人は少ないので。特におじいちゃん・おばあちゃんと会話をしている所を撮影すると喜ばれますね。私自身もポーズが決まった写真だけじゃなくて、そういった何気ない写真が魅力的とお伝えしています。

<一般的な写真>

しいれいさん写真

<しいれい流の写真①>

しいれいさん写真

<しいれい流の写真②>

しいれいさん写真

 

ー確かに。こういった動きがあって、完成された記念写真じゃない「途中経過」って、意外に見ないですよね。

 将来、見返した時にこんな会話をしたね!と思い出して欲しいんです。

 

ー写真を撮る上で、特に大事にしていることはありますか?

 一番見ている所は、感情の動きですね。後から写真を見て、写真から家族の声やにおいや、その空気感などがリアルに思い出される。そういうドキュメンタリー性やストーリー性を大事にしています。

しいれいさん写真

ーそれは動画撮影のスキルが活きているということですか?

 まさにそうです。ライブ感を出すのが私の持ち味なんです。一般的にはカメラマンが、「撮りますね!」と声を出して雰囲気を作ったり、もしくは撮影される方の緊張をほぐすと思うんですが、私の場合はひたすら影武者になります。ビデオカメラマンって基本は喋らないじゃないですか?そういう感じです。

 

ーなるほど、完全に映像の人ですね。映像と写真撮影の方の違いを改めて感じました。これからカメラマンになりたい方にアドバイスはありますか?

 そうですね、「カメラマン」「フォトグラファー」と名乗るのは簡単ですが、飽和状態の業界でどう人と違うことをするか。私は、最近ある写真にも大きなニーズがあると感じています。そんな風に自分でニーズを見つけることができるかが大切かと思います。

 

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しいれいさん写真

しいれいさん写真

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