ものづくりに「芸術」を現代美術作家の思いとは?

美絵さんの連載記事も今回で最終回です。

前回、前々回の記事はこちら

第1回 都会の街並みに現代美術作家はこう感じた

第2回 絵本を通して感じた、今「子供たちに必要な教育」とは

現代美術作家の美絵さんが芸術を通して伝えていきたいこととは?

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現代美術作家

千葉県銚子市生まれ。父は洋画家の内田安彦さん。女子美術短期大学を卒業後、アルバイトをしながら個展を開く。2004年、東京都世田谷区から千葉県木更津市へ移住。現在は大学生と高校生の2人の子どもを育てながら、個展やアートスクールを開催している。PAINTING ARTIST MIE UCHIDA

子供の発想力を鍛える

美絵さんが代表を務めるUCHIDA ARTSCHOOLでは、デッサンや水彩をはじめとした絵画中心のクラスを開いています。

子供向けのクラスでは少人数の子供達と徹底的に向き合います。

芸術は自由です。子供たちにも自分で動いてみたいようにやらせます。何がやりたいの?やりたいことをやればいいよと。たまにりんごを描いてねとお題を出して、自分の好きなりんごを描いてもらって、できたら褒めます。わずかな時間でも子供は成長して帰っていくんです。

アートスクールでの一コマ 大根についてレク中
アートスクールでの一コマ 大根についてレクチャー

別にアーティストを育てようと思ってやっているのではありません。大人も子供も、芸術を通して生きるということを教えていきたいです。

生活の中に芸術を取り入れる

毎日朝起きて服を選ぶとき、あなたは何を考えていますか?

例えば服を選ぶといった普段の生活の中にも、「なぜその服を選んだのか?」という芸術的視点を取り入れて考えて欲しいと言います。

なぜ青いシャツを選んだのか、なぜボタンも青いのか、なぜ襟元がチェック柄なのか。そういった細かい発想の源全てに、芸術は関わっているんです。普段から「なぜ?」を意識することで自分の発想力を鍛えることができます。

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かの有名なスティーブ・ジョブズも学生の頃から芸術が好きで、Apple製品には彼の芸術へのこだわりが大きく反映されています。

作品を見た人が変われるようなものを作っていきたいです。芸術を少し取り入れると、生活が豊かになります。自分が行き詰まったときの支えにもなります。生きている限り、人は止まれません。前に進むためには芸術が必要なんです。

好きな仕事をシェアする

美絵さんの住んでいる農村地帯には、「結い」という昔からの物々交換制度が残っているそうです。

ANYLIFEを運営するエニタイムズを見たときも近いものを感じたといいます。

例えば草刈りと野菜を交換したり、そういう支え合いのサークルが今でも南房総には残っています。得意なことをシェアするというコンセプトはエニタイムズと一緒なんです。

好きなことを仕事にして稼げる、そんなサービスにして欲しいと美絵さんは語ってくれました。

好きなことを仕事にするって、儲けに繋がらないことが多くて難しいです。収入を得るというのはどんなにわずかなことでも大切なこと。こういうサービスを活用して、もうちょっと稼げるようになれると嬉しいです。

ものづくりに関わる人たちに伝えたい

ワークショップを通して、美絵さんはものづくりに関わる人に芸術を伝えていきたいといいます。

アトリエのデスク
アトリエのデスク

ものづくりや技術に関わる人たちに、発想力をつけるようなワークショップをやっていきたいです。例えばネイリストでもフラワーアーティストでも、色感がとても大事です。行き詰まっている人も、芸術がわかるようになるとスキルアップします。これは現代美術をやっている人の責任じゃないかと私は思うんです。

自分のやり方で芸術をたくさんの人々に伝えていく美絵さんの活動に、今後も注目していきたいと思います。

普段の生活の中にも芸術を。まずは今日着ていく服をなぜ選んだのか、考えることから始めてみましょう!

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